新しいスタンダードを目指して  
     
  以上、3つのカテゴリーから見出された F.O.B HOMES の取り敢えずの3つの「モデル」化の方向について、それぞれの特性と性能について概略列記したが、我々はこの「モデル」の案出を支えた考案プロセスの有りようを 、F.O.B HOMES の「スパイラルプロセス」と名付けることとした。  
 
図3
翻って見直してみるとこのプロセスは当初のダイアグラムからケーススタディへのプロセスを図3の様なスパイラルプロセスに整理し書き変えたということである。
 
   
  当初の5つのプロトタイプのスタート<0>から70程のケーススタディ<1>で積み上げ、それをカテゴリー化して分析しテーマを明確化し<2>ここからモデルを案出<3>そして標準化され、半規格化されたスタンダードプラン<4>へと進むと同時にまた、再び異なるケーススタディへ再帰してゆく運動体として F.O.B HOMES を規定していこうとしているのである。また、<1>のケーススタディは言わば注文住宅であるので F.O.B HOMES オートクチュールとし、<2>のカテゴリーはストックされた図面を再活用し F.O.B HOMES クリエイティブコモンズとされ、<4>のスタンダードプランは当初より想定していた F.O.B HOMESプレタポルテとなる。このジャンル分けは商品としてのラインやグレードを仕分けることに繋がってゆく。
このスパイラルプロセスは、対概念としてアメリカでのケーススタディハウスのあり方を想定すると分かり易いだろう。ケーススタディハウスでは多数の建築家が「建築の部品化」を推し進めたが、結果、イームズの自邸−ケーススタディ#8
<FIG26>で究極の姿を見てその運動が収斂するリテラルなプロセスを辿った。逆にF.O.B HOMESではモデルは再びケーススタディへ回帰することを目指している。それは常に揺れ動く日本の現代住宅事情(既にここ10年の内にも「シェアハウス」や違う場所に生活拠点を持つ為の「ダブルハウス」がリアリティを増して来ている。)の中で、住宅の最適解も移ろいゆくことに対応する為でもある。
そしてまた、我々は日本が戸建て住宅中心に住宅を作って来た経緯と歴史を離れてはリアリティある「理想の」住宅像は描ききれないと考えている。作ってしまった郊外宅地や土地所有の制度は、早晩革命的に書き換えることは不可能であり、かつ、不合理である。我々は良い悪いは別にして選び取ってしまった日本の「住のかたち」を発展的に継承するしかないのだ。アメリカの民主主義を中国に丸ごと適用できないのと同じように、日本の住のかたちはヨーロッパのそれともアジアのそれとも異なる成立事情の上に成り立っており、取り替えることは出来ない。我々はあくまで「戸建て」形式の中で何が最適か、商品住宅や製品住宅を如何に乗り越えてゆけるのかを考えて行かざる得ないのである。その視座に立って我々は最適な「戸建て」を案出する為の再帰的運動体−プロジェクトとしてF.O.B HOMESを定位したいのである。

 





ケーススタディハウス#2  

ケーススタディハウス#8
(イームズ自邸)
<FIG26>
  再び「一般の」住宅を見直してみよう。殆どの住み手は「普通で、丈夫で、長く使える」住宅を求めている。しかし、その「普通」とは何か「長く使える」とはどういうことなのかは、一元的ではあり得ず捉え所が無い。我々 F.O.B HOMES の枠組みに於いては、その再帰的でアルゴリズミックな過程から現代日本の「スタンダードハウス」に肉薄し、その近傍に到達することを目指し続けているのである。
 


     
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