ケーススタディモデルを回帰的関係のスパイラルへ  
     
  F.O.B HOMES は現在、ある一定「量」の実例/実作のストックを形成するに至っているのであるが、実例の無いプロジェクト発足当初、前提で示し得た商品コンセプトを5つの「プロトタイプ」に托し、プレゼンテーションを行うことから始めたのである。主にアルコーブ状のワンルーム性能は同じ様に保持しつつの、「細長い」或いは「正形」であると言った土地形状の差異を足掛りにしたダイアグラム展開<FIG17>を行ってみたのだ。  
 
当初想定された5つの「ダイアグラム」 <FIG17>

1. ケーススタディ
しかし、実際運用してみると住宅を巡る現実はよりカオティックな様相を呈しており、5つのダイアグラム(プロトタイプ)で対処出来る様なものでは無かった。(思えば分析していた通りではあったけれども、、、。)結果、当初のコンセプトを繋げながら一つ一つケーススタディを積み上げてゆく作業となった。ただ、Atype(Fj-HOUSEが典型作)と呼びなわされたOPEN/CLOSEのストライプ配置のダイアグラムを持ったプロトタイプは比較的汎用性があったので、いくつかのバリエーションをつくり出すことには繋がったり、また、積み上げられるケーススタディの中から(一般化出来そうと言う意味での)「有望な」いくつか空間形成ダイアグラムを見出すことにもなった。また、ケーススタディの積み上げからどこまで規格化するか、非完結性能を如何なる方策によって獲得し、そのことがどこまでコンパクト化に繋がるのか等々の数々の知見を得ることが出来た。 例えば非完結性能は、当初想定していた未完成状態からのみつくり出されるものでは無く、如何に隣接する領域間での関係が取り結ばれるのかに多くを負っている為、各領域の配置関係とそれぞれの開かれ方の様相がプランニングの要諦となることなどは、ケーススタディの積み上げが無ければ掴み取れない洞察であった。何事も「継続は力」なり。ストックはいずれある質を生み出すものである。
 
 
2.
A. ストライプ典型事例
B. L-SHAPE典型事例
C. BOX IN BOX典型事例
    <FIG18>
 
 
カテゴリー /3.モデル
特異解の集合と見えるケーススタディの群体を総覧すると、いくつかのカテゴリーに分類出来る「パターン」を認めることが出来る。我々は今のところ、見い出された5つの「カテゴリー」から有効だと思われる3つの「モデル」を抽出し
<FIG18>得ている。上からのモデル化と、下から湧き上がってくるモデル、その相互規定による再帰的な運動による取捨選択を通し、より高い汎用性と一般性を鍛えられた使えるダイアグラム=「モデル」が選び出されている。その3つのモデルを列記すると、 
 
 
 
 
ストライプカテゴリー (IN:OUT SIDE / BLACK:WHITE)
当初設定した5つのプロトタイプを実際に運用してみると、最も汎用性が高かったのがこのダイアグラム。コモンスペースの「W」(WHITE)スペースをプライベートスペースなどに充てられる「B」(BLACK)スペースでサンドするプランニングで、B-Wの片側化させたり、幅/長さを伸縮させて規模や敷地の形状に対応する。郊外宅地で一般的な比較的方形の敷地に向いているだろう。B-Wはコモン/プライベート以外に、サーブ/サーバント、オープン/クローズド等々の2項対立系に置き換えることが出来、多様な性格を帯びさせることが出来ることが、プランニングの汎用度を向上させている源泉であると評価している。
また、このB-Wのパラレルな配置に「I」(INSIDE)−「O」(OUTSIDE)の別次元の関係項をバーティカルに重ね合わせることにより、内外を包括的に内包する居住空間体が構想し得ている。このI−O項の導入によって周辺環境へは比較的「閉じた」関わり方を持つ住居へ傾くことも出来る調整力を備えることとなった。このことは周りの商品住宅群からの配慮の無い視線から逃れる能力を保持している為、メリハリの効いた開口部配置が出来ることを意味する。つまり、このモデルはあくまで郊外宅地のコンテキストを前提としていると言うことである。また、ここでストライプモデルの典型事例 Fj-HOUSE を見ると、現況「B」バンド部分がオープン化されている為2人住まいの1LDK状態であるが、「B」をクローズ化すると最大4LDK化<FIG19>出来る。ワンルームと n-LDK の中間的な様相を持っており、このことによって「家族形態のバイオリズム」にも対応可能なのである。プラン性能としては核家族利用も範疇に入る幅を持っていることを意味している。
実際のF邸ではB/W項は倉庫(収納)と各住領域と相互の関係を生み出す為に使われており大量の生活財を「出し入れ」しながら使う生活様態を支えている。現在都合10棟ほどへ適用され汎用性と共に高い一般性を有していることが確認されている。<FIG20>
 



ストライプカテゴリー <FIG20>
 
1LDK 2LDK 3LDK 4LDK
       
ストライプダイアグラムの1〜4LDKへの読み換えを示すダイアグラム <FIG19>

 
L-SHAPE カテゴリー
実際 F.O.B HOMES として連続して日本の「戸建て」住宅に取り組んでみると、扱うのは狭小地や変形敷地が多い。これは F.O.B HOMES が新規の郊外宅地開発に載せられる住宅ではないことであると同時に新たな開発は既に終わり、住宅の更新でしか戸建て住宅が建てられなくなって来たことに由来している。言わば塚本由晴氏曰くの「第四世代」化した住宅事情に対応しているが故の結果でもあるのだが、何れにせよこれらの「サイト」を扱うとき、上に載せられる住宅はL字型のボリュームをユニットとしてその構成を編成すると上手くいく。
この経験を積み上げモデル化するのが L-SHAPE モデルである。L字型のボリュームユニットは隣接する2つの領域の距離の遠近の調整がし易く、かつ、組み方によって隙間が発生し内/外関係を住居内に内包し易い効用がある。L-SHAPE モデルの狭小地対応の事例としては、Tk-HOUSE<FIG21> が典型であり15坪の狭小敷地の3層に積み上げられた L-SHAPE によって外部空間を内に含んだ1ルームでありつつ各領域がアルコーブ状空間の集積体が可能となっており、比較的大きい旗竿敷地(変形地)にのせられた Fk-HOUSE では L-SHAPE ユニットを立体的に組み合わせ、内部の隙間は主人である画家の「アトリエ」外部に出来た隙間は大小の庭となって現象しているという事例<FIG22>を見ることが出来る。
L-SHAPE カテゴリー
 

L-SHAPE モデルは規模の大小/敷地の形状の多様さに幅のある対応力を持つことになるだろう。 ユニットが「方型」であることによる自由度は、生活場形成の契機に乏しくL字型のユニットの不自由度が逆説的にプランの豊穣を生んでいるからである。日本の都市に遍在する狭小/変形敷地へのユニットによる汎用性あるモデル提案は、これもまた家族/ライフスタイルからのモデル化とは異なった意味での一般性を有することとなるであろう。
 
 
 

  <FIG21>

  <FIG22>


BOX IN BOX カテゴリー
日本の一般的な住宅の規模にコストを勘案すると、延床30〜50坪程度では重量鉄骨構造やRC造などの構法は割高であり、勘案すると在来木架構<FIG23>を選択するのが適切であると見られ比率も高くなる。しかし、在来木造は内部に壁量を確保する為の袖壁が必要で、閉じた部屋の連結で平面的にプランニングされるに適しn-LDK 以外の現代住宅プランでは制約が多く使いにくいのが現況である。
そこでBOX状の木架構にもう一つのBOX木架構を入れ子状に挿入し、その重なりによって耐力を確保しつつ法規上簡便な申請である在来木造「4号建物」のまま、立体的、流動的な内部空間を実現する架構形式「BOX IN BOX」形式を考案<FIG24>した。挿入される内側のBOX木架構はリビングダイニングなどに充てがわれる言わばストライプモデルの「W」領域、外郭BOXと内郭BOXの隙間部が「B」領域となる。組み方のバリエーションは多様に想定可能でスキップフロアの立体的住宅も導き出さすことが出来る。このモデルの典型事例 Um-HOUSE <FIG25>では内郭BOXの連結が流動的なコモンスペースを形成し周辺環境とのスムーズな連携を作り出している。この構法の考案とによって m2 から m3 へという F.O.B HOMES の容積で評価される住宅性能の新しい現れに、より積極的に一般化することが出来たと考えている。
BOX IN BOX カテゴリー
 
期せずして現在、在来木造は工場プレカット化され、ある意味「工業化」されているとも言える。 在来と工業化住宅の境目も曖昧になる中、工法とプランニングの癒着を開放することが新しい住宅のかたちを開く可能性を有していることへの気づきがこのモデルの創出の契機となったのである。

  <FIG23>

  <FIG24>

   
  <FIG25>

 
 
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