間取り主義からの脱却 − 脱LDKとしてのゾーンプランニングのあり方  
     
  以上が3つのカテゴリーの欠点の概略であるが、我々はこのメリット/デメリットの分析を通じて、これらの「まんなか」あたりのつくり方に住宅の取り敢えずの最適解があるのではないかとあたりを付け、どの様にすると「まんなか」あたりに位置付けられるのかを帰納的に考えてみることにした。
  図2
 
  まず、その為に鮮明に「製品」との対立項を設定する。それは言い換えると、完結/非完結の2項対立の定位である。製品は完結性を希求する。その性能を計量化する為には、その計測される対象は閉じていなければならない。キッチンはシステムキッチンとして完結し、バスルームはユニットバスとしてパッケージ化されることによってその製品<FIG8>として性能が明示されるのだ。 しかし、実際住環境に於いての身体的な実感としてキッチンもバスルームも閉じてはいない。領域は重なり合わされることによって、計量化出来ない快適性が発現する契機となっている。だから、各領域が「非完結であること」「重ねられてあること」を許容する家のつくり方に非製品性能を持ったポスト工業化住宅の可能性が開かれていると考えている。
 


完結思考のシステムキッチン  
「閉じた」性能を持つユニットバス <FIG 8>
 
具体的には、各生活領域が部屋の単位として分節され、その部屋数(量)で評価される n-LDK方式の住プランではない、領域が重ね合わされたその都度生活場が創発するワンルーム−「アルコーブ・ワンボックス形状」の住プランを案出し、非n-LDK方式として対比させている。<FIG9>
 
分節された部屋の集合体としてのn-LDK アルコーブ/ワンボックスの領域の重なり合いを示す
  <FIG 9>

  このプランニングでは通常 n-LDK方式での核家族世帯の住宅として延床50坪程度取るところを、重ね合わせ効果によって約30坪内外へ納めることが目指される。キッチンはリビングと重なり合い、バスルームは寝室に侵入する。収納は壁となりダイニングは書斎となる。 ということは、住宅本体のコンパクト化による敷地により多くの隙間の発生が期待出来、このことがn-LDK プランニングに付きまとう「使えない」外部空間を、内部と連携し周辺環境と繋がる「使える」外部空間<FIG10>へと造り変える契機となるのである。
 




眺望に向けて開かれた
「ダイニングテラス」
<FIG10>

内部のリビングと連動する
「アウトサイドリビング」
<FIG11>

京町家の通り庭 <FIG12>

「面積」のコンパクト化で見い出されたコスト減は「容積」へ充当する。言わば「mからmへ」。空間量の多さはプランニングにリダンダンシー(冗長性)を生み出す。<FIG11>何故なら現代住宅は、住宅のライフサイクル(住み始めは普通2人から、そこに子供が生まれそして独立し、と言った家族のバイオリズム的な変化)やライフスタイル(現代の働き方や生活様態の激しく移り変わる。)に応ずる対処能力を求められているからである。京町家を見よ。「通り庭」と言う大きな空間量を持ったボリュームが細長い住形式を貫通している<FIG12>ことが、現代生活に適応する為のリノベーション可能性を胎蔵し、使い続けられる空間力の源泉となっている。(作られた時はそんなことは考慮の外ではあったけれども。)空間量m3の評価は時間軸の導入によってリアリティを増すのである。
 
更なる「コスト」の移管は「つくり方」「売り方」に関わることにより見出される項である。そもそも住宅は工業化には不向きである。土地の形状/気候条件(大きな地域/地方の気候差異だけでなく場所ごとの微気候も含め)/予算の大小/好み/生活様態/家族形態 ect. 入力する変数が多すぎて全てをカバーする工業的標準化は不可能に近い。故にアッセンブルするものが多様に出来することとなるし、結果、大量生産によるコスト圧縮効果は期待出来ないのである。ゆえに、「ゆるい」住形式上の「ほどほどの」標準化/規格化が良い。それを支える為には日本に於いては、全国津々浦々にある「工務店」と呼ばれる大工技術の歴史的に形成された「厚み」に期待して良いだろう。「状況」を上手く活用すると、住宅に於ける工業化は必要ないのではないだろうか。また、先に見たように工業化(商品)住宅の流通も不合理に見える。過大な販売経費(営業の人件費、宣伝広告費、カタログ、見えない設計経費、必要外のモデルハウス<FIG13> etc. (これは必ず売れた家一軒一軒に分散して乗っていることは自明のことである。)が、本来個別性の高い住宅に掛けるべき費用だろうか。我々はこれに反し、既存の住生活に関連する業態に(現況は雑貨ショップ F.O.B COOP<FIG14>との連動によっている。)に乗せて家を「売る」ことが、この必要外の経費低減に繋がると見た。ここに F.O.B HOMES<FIG15> という「ブランド」が生み出される端緒を掴んだのである。
また、つくられる住宅に乗せられる生活材≒雑貨を通しての住宅の「つかい方」「住み方」提案が可能であり、提案のプラットフォームとなる雑貨ショップにとっては住宅から生活財までを扱うことのメリット、ビジネス上のシナジー効果を得ることが出来る。「売り方」の革新が住宅の見えないコストはもっと小さくし、住み手が得る新たな価値創出の源泉となる。今のところこの枠組みのあり方を我々は F.O.B HOMES の「規格」ではない「企画」住宅化(プロデュース化とも言って良い。)と呼びなわらしている。
 
住宅展示場 <FIG13>

F.O.B COOP 青山店 店内風景 <FIG14>

F.O.B COOP と FOBA の間 <FIG15>

部材レベルでのゆるい標準化、領域を重ね合わせる為の各領域の非完結性能の開発を行い、その上に白い容器としての「商品イメージの統一」を重ね合わせる。買い手には事例の積み上げと価格スペックの明快な提示が自らの住生活可能体イメージの形成にうまく働きかける筈だ。我々はつくり出されたひとつひとつがどんな使われ方を秘めているのかをカタログ化し、ストックすることによって顧客とのコミュニケーションを簡便にすることを心がければ良い。<FIG16>
「商品/製品/作品の間」はこれらの施策と見込みによって徐々に焦点が見定められてきた。F.O.B HOMES では2012年現在、約70棟ほどのケーススタディをプランニングし得ている。この蓄積の上、我々は新たな「つくり方」のサイクルの発動を目論んでいるのである。
 
カタログ・リーフレット等を
定期的に刊行
<FIG16>

 
 
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