雑貨から考える


我々の現代生活は、名前をもった部屋の集積に翻訳しにくくなっています。部屋の集積への翻訳、つまり、n-LDKの住形式に基づいてリビングルーム、ベットルームといった名付けられた部屋によって生活空間をかたちづくることは、生活に対する想像力の貧困にすらつながっています。家族のかたちがますます変化し、現代の家族は家父長制や核家族といった安定した構造をもたず、各個人が多様な関係を取り結ぶことによって成り立つ、それぞれが異なる動的平衡状態をもった家族であり、その器もまた揺れ動きつつ安定している状況場になりつつあるのです。
自らの生活をふりかえって下さい。ベットルームでくつろいだり、リビングルームで仕事したり。かつてあったイエにまつわる生活作法のしばりは薄らいでいませんか。これらの現象の延長線上に、労働再生産の場として「必要」の為にイエをもつのではなく、ライフスタイル表現の場としての「快適」なイエをもちたいと考える人たちの増加が見えてきます。
「必要」のためのイエは機能によって計画され、「快適」の為のイエは機能を捨てるのです。「快適」のためのイエは、家族との団欒の場が友との歓談の場にもなり、何かに没頭したり無為に過ごしたりする場所にもなりそのつど身体が求めるままに再編されカテゴライズし直される、こそが似つかわしい。
FOB HOMESは、行為を喚起する「器」としての住宅を目指しています。
目的を持たない空間のイメージはスタジオやギャラリーを例に挙げると良いでしょう。それらは出来るだけ広くプレーンな内部を持ち、いろいろな展示が行え、多様な作業を展開することができる「器」としての空間様態として捉えられます。しかし、スタジオやギャラリーはそのままでは住むことができないのは当然です。使われかたを喚起し生活を係留するきっかけがデザインされた上で、いろいろなことが起こりうる可能性としての「余白」をもったスタジオやギャラリーのような「器」がイメージされているのです。
FOB HOMESでは、この「余白」をデザインするためいくつかの空間形式を考案しており、これらをクライアントとの対話を通して運用するプロセスをふむことによって、それぞれの特殊解としての器が導き出されていくのです。そして、それをどのように使い込んでいくのか。最終的な生活環境の豊かさは住み手にゆだねられるのですが、ここではFOB COOPが積み重ねてきた「雑貨」からの生活提案が生かされます。「器」から、そして「雑貨」から、多重化されたアプローチが豊かな生活環境の獲得につながります。


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